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箱崎は、福岡市東区南部に位置し、博多湾に面した町である。応神天皇のへその緒を箱に収めて埋めたという伝承から、この地名になったと伝えられる。

海から陸へ一直線に伸びる長い参道の先には、日本三大八幡の「筥崎宮」があり、古くから海外との交流の門戸として重要な役割を果たした。博多湾沿岸一帯には元寇防塁跡があり、蒙古襲来で未曾有の困難を乗り越えたことから、勝運の神としても有名である。諸説あるが、神功皇后三韓征伐の際に龍神が捧げた玉とも言われる陰陽2つの玉のうち、陽の玉の争奪戦をおこなう「玉せせり」が毎年1月に行われる。また9月には、参道一帯に数百軒の露店が立ち並ぶ「放生会」が千年以上続いている。全ての命を慈しむ神事で、「合戦の間多く殺生すよろしく放生会を修すべし」という御神託が起源とされる。新しょうがや見世物小屋、かつてはストリップショーなど珍しい露店が軒を連ねる。「ドグラ・マグラ」で著名な夢野久作は、筥崎宮の氏子であったらしい。小説の舞台である九州大学は長らく箱崎にキャンパスを置いていた。

KOURYOUの実家は箱崎にあり、この地に家船の赤ちゃんを漂着させようと提案する。

漂着一ヶ月ほど前にKOURYOUの親族が余命宣告を受け、コロナ禍であるが会う事を強く希望していた。参加作家は作品を郵送し、KOURYOUのみ緩和ケアへ帰省している最中の実施。

8月15日の午後、箱崎浜へ漂着。この日の夜は魂を船に乗せ海へと送りだす精霊流しであったため、賑やかな小船を持った人たちが集まりかけていた。